行ってみたやってみた
玖珠町水めぐり(下園妙見様湧水)
美味しい。でも何でだろう
2022.12.28
玖珠町は、大分県の西部に位置する人口1万5000人弱の静かな町。童話の里として古くから知られるが、最近ではキャンプブームを追い風に豊かな自然が魅力となり、人気のキャンプスポットに。そんな玖珠町で、忘れてはいけないのが自然が育んだ“水”だ。
「万年山(はねやま)」の山麓から湧き出る水が豊富にあるため、地域の人にとっては当たり前のことのようだが、世界的に見ると目の前でどんどん水が湧きだす光景は、決して当たり前のことではない。
まずは水=滝ということで、
玖珠町の代表的な観光地、慈恩の滝に向かった。
慈恩の滝は、玖珠町の西側に位置し、久留米と大分市を結ぶ国道210号線を走っていると見える、“とてもわかりやすい”観光地。ものすごい水量でド迫力なのだが、あまりにも車から見えすぎるためこれまで改めて車を降りて見たことはなかった。今回は取材という機会をもらい、初接近。
車中からはわからなかったが、上段20m、下段10mの落差がある二段滝で、撮影日もたくさんの人が写真を撮りに訪れていた。豪雨の影響で、滝を裏側から眺められる道が通れなくなっているとのことで、また通れるようになったら来てみたい。どんな感じなんだろう。
地域のことは地域の人に聞くのが一番ということで、大分県農業農村振興公社の梅木さんに、すぐ隣の「道の駅慈恩の滝くす」で話を聞かせてもらうことにした。
会うなり、いきなりソフトクリームをごちそうになる。
ここの道の駅の人気商品「豆乳ソフトクリーム」なんだとか。
豆乳ソフトは初めて食べたが、ツルツルフワフワとした食感で、なるほどこれは美味しい。
まったりとしたところでお話を伺った。
梅木さん…。
玖珠愛がすごい。
どこの地域にもこんな人がいるんだなと、こういう取材をしていて気づかされる。
観光地や人に愛される場所には、必ず素敵な裏方さんがいて、地域を守り、時には育てたりしている。
地域の人の集う場所として、玖珠町の運動公園を作るよう16年に渡って働きかけて実現したり、地域づくりの活動を行ったり、慈恩の滝でいうと、夜真っ暗になってしまって見えないからとライトアップしたりと、大きいことから小さいことまでいつでも玖珠について考えて行動している。
そんな活動のひとつとして、地域の人とともに「万年元気」という事業・ブランドを立ち上げた。水のきれいな玖珠町で主力商品である豆腐づくりを通じて、地域の雇用を創出し、地域を支える活動だ。
慈恩の滝のその上に集落があり、そこに「平成の名水百選」にも選ばれた「下園妙見様湧水(しものそのみょうけんさまゆうすい)」があるという。そこの水を使い、九州産の大豆を使い、地域の人の手によって作った豆腐はしっとりまろやかで美味しいのだとか。
先ほどいただいたソフトクリームはその豆乳で作ったものとのこと。水が良いからこんなに美味しいのね。
万年元気の工房を案内してもらう。
万年山に守られたこの集落はとってものどかな場所。椎茸や米の農家さんが多いのに気づく。5分程車に揺られてたら着いたのは学校のような建物。
廃校になった学校の給食センターを改装して工房にしているのだとか。
もう少し揺られて着いたのが「万年元気」の店舗。店内で写真を撮っていると、日田市内や福岡からのお客様が。みんなここの豆腐の大ファンで、近くに来たら必ず寄って帰るとのこと。小さい集落の小さな活動は、ゆっくりだけど徐々に多くのファンを集めている。
集落を眺めると、どこも勢いよく水が流れる。川はもちろん、水路にまできれいな水が流れ、ちょっと別世界な雰囲気。取材時は少し肌寒く感じたので、夏が来たらまた訪ねたいと思う魅力的なエリア。
最後に「平成の名水百選」に選ばれた「下園妙見様湧水(しものそのみょうけんさまゆうすい)」へ。元禄14年、旧山浦村の村地図にも記載されており、地域の人たちの大切な水源として守られてきた。
まずはお水を飲ませていただく。
「美味しい。でも何でだろう」。
メンバーチェンジ
「水が柔らかい。軟水なんですね」。
正解。
硬度が高い硬水(カルシウム・マグネシウム多)は、カルシウム分が大豆のたんぱく質と結び付いてしまうため、豆腐を作ると固くしてしまう。だから豆腐作りには、硬度が低い軟水(カルシウム・マグネシウム少)が適していると言われている。
詳しい数字はわからないが、ここの水はとてもとても柔らかい(飲んでみた調べ)。
日本中どこもそうなのだが、水源周りは木々や草花が生い茂り、とても心地よい。
ドライブの息抜きに、ちょっと寄り道をして身も心もリフレッシュしてみてはいかがだろうか。
【道の駅「慈恩の滝くす」HP】
http://www.kusu-michinoeki.jp/info-jion.html