行ってみたやってみた
日田いち & 朝市
楽しいこともくだらないことも全力で
2023.01.08
「日田は元気な街だ」取材をしているといつも思う。
街中の人が積極的に発言し、行動し、常に今よりもっと良くしようと考えている人が多いように感じる。取材で会う人たちの個性が強すぎるせいなのかもしれないが。
今回取材するのは年に6回程開催される「日田いち」。
長く日田の町おこしの活動をやっているボランティア団体とのことで、手弁当で街のことを考えての活動を行っていることの凄さを感じつつ、朝早く起きて取材に向かう。
10時開始のイベントなのに、8時半に着いてしまった。
混雑するかと思って余裕を持って出発したためになぜか今日は道中がスムーズ。
ところが、会場に向かうと「ん? もう何かやってる」
イベント会場の一角に人だかりが。
聞けば、日田いちの日には、同時開催で朝市もやっている時があるらしく、なんだか面白そうなので話しかけてみた。
出店していたのはパン屋さんと魚屋さん。
まずはパン屋さんから。
日田市渡里「Bliss(ブリス)」さん
若い時からいつかパン屋をやりたいと、悶々としながら長くサラリーマン生活をして、奥さんのお許しをいただいて、方々で修業を重ねた上で、去年開業をしたばかり。お店の認知度がまだ高くなく、みんなに知ってもらいたいからと早朝からの出店をしているとのこと。
夢を持ち続けて実現する旦那さんも凄いが、理解を示す奥さんも凄い。
美味しそうな菓子パンが大きく並ぶが、自慢の商品は「生食パン」。
情熱というか執念というか、若い頃から頭の中はパンでいっぱい。修行を重ねる中で編み出したこのパンは、自分の作りたいパンを形にしたいわゆる情熱の結晶。
ほんのり甘い香りと、もっちりという言葉がピッタリの柔らかさで、550円というちょっと高めのお値段にも関わらず、だんだんとファンを増やしていっている。
おなかが空いていたので、すぐにそのまま食べられる菓子パンをチョイス。
なるほど、素朴で懐かしい食感と美味しさ。そうか、こんな感じのパンを作りたかったのね。 生食パンも食べてみたい。次はちゃんと買いに行きますね。
続いて隣の魚屋さんへ。
すごい人だかりだなー、ん? 安い。しかもものすごくモノがいい。
これは人が集まるハズだ。
忙しい中、一見コワモテだが、笑うとかわいい大将に話を聞かせてもらった。
福岡の柳川から来ている「魚八」さん。いつもは吉野ケ里の軽トラ市で16年間出店していて、月に1回日田までやって来て販売をしているのだという。
昔定期開催のイベントで出店していて、常連のお客様も多くついてくれて、そのイベントが終わった時に、日田いちの主催者さんから引き続き出店してくれないかとのお誘いをもらい、出店しているのだという。もう長く日田での販売も行っているので、楽しみにしているお客様も多く、帰り際にみんな口をそろえて「次はいつなん?」という投げかけが。
お客様も買い物だけでなく、大将との会話を楽しんでいる人が多く、地域に入り込んで月に1回、しっかりどっぷり日田の人になっている。
「野菜屋さんも出店すれば、もっと賑わうのにな」と、朝市全体のことについても考えている。県外の人だけど、この人も日田の街を盛り上げるブレーンのひとりだ。 「今日は塩サバねえんな?」「これどげえやっち食べるんな?」大将もお客さんもなんだか楽しそうで、見ているだけでも心があたたまる空間。
そうこうしていると日田いちの準備は大体整った風に見えたので、主催者さんに話を聞いてみた。
主催の西岡さん。
西岡さんは、まちづくりグループ「日田プレイス」の代表。
「日田プレイス」は、中心市街地の空洞化と時代の変化によるコミュニティの在り方の変化に対応すべく、2000年からこの「日田いち」などを介して空き店舗の活用や国際色を取り入れた街づくりなどで地域の活性化を目指す団体。先述のとおり、ボランティアで活動している団体なので、本業を抱えつつの活動になるため、「日田好きじゃないと無理な、好きじゃなきゃできないことをやっている人たちの集まり」なのである。
ざっくり「日田いち」について聞いてみた。
「以前海外を放浪していた時に、方々で開催していたマルシェに立ち寄った、今の時代で言うダイバーシティなイベントに感動しました。地元の日田に帰ると、どんどん衰退していくのが見えて、寂しい気持ちになったので、そうだ、あれをやろうとイベントを始めました。
最初は日田の駅前でフリーマーケット。楽しみがあれば人はやって来る。毎回楽しみにしてくれる人が増えて、どんどん規模が大きくなってきたので、2011年から会場を今の中央公園(パトリア日田前)に移しました。その時に今の日田いちのような形に変えました。回数は年6回ほど。内容はフリーマーケット、ハンドメイド、リサイクル、企業のお知らせ、飲食店の出店と、キッチンカーを集めて楽しむイベントで、ステージイベントもやっていますよ」との事。
盛りだくさんやん…。
「ステージイベントが見ものですよ。地域の手作りのステージイベントです。オカリナ吹きながら歌を歌ってる人とか…」
なんだかすごい含みを持った…。
とにかく楽しそう。
イベントが始まると忙しいだろうからと、お願いして手が空いているこのイベントの主要メンバーに集まってもらった。
「なんこれ?」
「カオスやん」 その中から2名ほど紹介。
ジヨン森さん(たぶん本名じゃない)。
なんか偉い人らしいが、振り切っていてかけらも感じない。本日の司会進行役。
ナラヤンさん(ネパール出身。日田に20年住むカレー屋さん)
「あなた昭和何年生まれですか?」という質問で「西暦で聞かんのかい」というツッコミを待つという鉄板ネタを持つ盛り上げ担当の気遣い屋さん。本日はキッチンカーで参入。
これが日田の魅力か?
ただただ楽しい。
まずはフリーマーケットから…。
寝とる(笑)
怪しいものではないですよとご挨拶。
本業はけっこうお堅い仕事をされているお姉さま。アクセサリーや洋服を売っている。びっくりするくらいの自然体で、コミュニケーションを楽しんでいる模様。物が売れるとか売れないとか、多分どうでもいいのだろう(笑)
しかし、個性が溢れすぎ…。
続いてペットの洋服販売のお姉さん。
全てお手製のペット服を販売しているんだって。
みんな楽しそう。
続いて編み物でバッグを作っているお嬢さま。
写真手前の手編みのバッグ、むっちゃかわいいのに500円。即買いです。
続いてフードのブースへ。
「かべやん」という炭火焼のお店。
コロナ禍でお店を閉めざるを得なくなり、今はイベントでのみ営業しているとのこと。
地鶏の炭火焼きを買わせてもらった。うーん、むっちゃ旨い。奥さんも旦那さんが焼く地鶏の炭火焼きを絶賛しつつ、細かいことが苦手な旦那さんにダメ出し(笑)。どこもそうか…、旦那さんはニコニコ笑ってやり過ごす。味はもちろん、雰囲気も最高なので家の近くにあれば毎日でも通うのに。またお店始められたらいいですねと応援。
続いてステージ。
キッズダンス、津軽三味線、ギターソロなど、全9ステージと、イベント盛りだくさん。
ほぼ途切れることなくステージは続く。
度肝を抜かれたのが午前中に登場した「コルネットおじさん」。
昔の名曲を埋もれさせたくないというメッセージからか、今日の選曲も昭和の名曲。
では、少しお楽しみください。
スターを発見しました。
インスタでバズるであろうタレントなのは間違いないでしょう。
インスタやYouTubeの使い方を教えたい。
出待ちの僕らに気持ち良い顔で話しかけてくれた「コルネットおじさん」さん。
昔の名曲が、原稿を書いている今でも鮮明に頭の中を流れています。
伝える力の強さ、感服いたしました。
続いてキッチンカー
ナラヤンは日田市内の人気カレー店。
見てるとみんなの人気者。
キッチンカーの前は常に人だかりで、自身を模したイラストのシールやポロシャツ、ビールなど、カレーだけではなく、自分の売り込みにも余念がない。
話したいことはたくさんあるが、ナン・カレーセットだけ買って、今日は邪魔しちゃいけないのでまた後日。
さすが日本生活が長い。ネパールの味を守りつつ、どこをどうやったのかわからないが、日本人にも食べやすいカレー。看板にネパールカレーと書かずに“日田カレー”と書いてあることもうなずける、ネパールカレーが基になり日田で育ったここにしかないカレーだった。
もっちりとしたナンとの相性も抜群。
「やるな、ナラヤン」
まだまだ書いて伝えたいことはあるが、日田のイベントの凄いのは、
市民発信で行うものが多いというところ。
最後に。
来てくれる人のことを考えて、楽しいこともくだらないことも全力でやって、そして自分も楽しむ。そんな素敵な楽しみ方を知っている魅力的な人が、日田には多く暮らしている。
「日田いち&朝市」の開催日程など詳しくは
https://hita-place.jimdo.com/