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行ってみたやってみた

日田ハイボール&天領日田洋酒博物館

美酒に酔いしれる日田の旅

2021.12.28

「水郷日田」と呼ばれるほど大自然の上質で豊かな水に恵まれた日田は、昔から酒造りが盛ん。市内には歴史ある酒蔵、蒸留所が点在し、清らかな水を使った日田ならではの“酒に合う”ロックアイスや炭酸水も製造されています。
今回は、日田の新名物として注目を集めている「日田ハイボール」と、世界中から注目を集める「天領日田洋酒博物館」をフューチャーします!

日田の新たな名物!五感ただよう日田ハイボール

日田ハイボールとは日田市のカフェ&バー琴音庵のオーナーである佐藤智之さんが考案した、日田の酒・炭酸水を使い、日田杉のタンブラーで味わうオール日田産にこだわる逸品。元々佐藤さんのお店で出していたものだが、「コロナ禍で疲弊した町や企業を元気にしたい」と、市内の酒造や蒸留所、飲食店に呼びかけ、日田の新名物にすべく改良。昨年夏にお披露目会を行い、大きな話題を呼びました。「現在、日田ハイボールは市内17店舗に加え、日田と関わりの深い東京、大分市内の各1店舗で味わうことができます。今後は試飲会、イベント出店などPR活動も色々考えているんですよ。コロナ禍で動けない間にためたアイディアがたくさんありますから」そう話す佐藤さんはどこか嬉しそう。日田産のいいモノを知ってほしい、日田に足を運んで欲しい。そんな真っ直ぐな思いが伝わってきました。

日田ハイボールをきっかけに、飲食店、酒造メーカー、 工芸・民芸、観光、クリエイティブなど様々な分野の人たちが集結。日田産のモノ・コトに着目して日田式の活動を行う団体「HITA-SHIKI(ひたしき)プロジェクト」が立ち上がり、あらゆる角度からまちおこしに貢献しています。

日田ハイボールは単なるお酒ではなく、日田を愛する人々をつなぐ、かけがえのない“絆”そのものなのです。

、、、と説明はここまで!ここからは日田ハイボールの美味しい秘密をご紹介♪

日田ハイボールを名乗るには以下の条件をクリアする必要があります。

<日田ハイボールの定義>

 日田杉の薄板でできた「日田ハイボール専用タンブラー」で杉の香りを楽しむ。

タンブラーは現在なんと15作目!「木の厚さ、サイズなどより良いものを目指しています」と佐藤さん。デザインはもちろん、扱いやすさにもこだわり、改良を重ねているそう。

 使用するお酒は日田市内の酒造会社「クンチョウ酒造」「井上酒造」「老松酒造」「いいちこ日田蒸留所」「梅酒蔵おおやま」でつくられた長期熟成の焼酎(梅酒)であること。

 お酒を割る炭酸水は日田の地下200mから汲み上げた水を原料とした強炭酸水クオス、氷は九州コクボのロックアイス(氷は予定)を使用すること。

クオスに加え、近々ロックアイスで有名な地元企業・九州コクボさんが参加予定。地元愛で繋がれた人々の輪がどんどん広がっています。

佐藤さん直伝!日田ハイボールの美味しいつくり方

日田ハイボールは自宅でもつくることができるのでチャレンジしてみてください。日田ハイボールのベースとなるお酒の特徴、美味しい作り方はYouTubeで詳しく解説されています。

一番のポイントはお酒の風味を最大限に楽しむために炭酸水→お酒の順で注ぐこと。これは「お酒に関することでは右に出る者がいない」と噂される天領日田洋酒博物館のオーナー・高嶋さんのアドバイスで決まったとのことです。(洋酒博物館はこの後紹介)。

日田杉のタンブラーは日田ハイボール取扱店で購入できます。現在、日田ハイボールをより手軽に楽しめるよう、お酒と炭酸水、日田杉タンブラーのセット販売も考えているそうですよ。

わたくしたちも佐藤さんに日田ハイボールを作っていただきました!

今回はクンチョウ酒造の長期熟成麦焼酎 薫露(くんろ)をチョイス。口に含んだ瞬間、豊な杉の香り、ウイスキーを思わせる芳醇な、それでいてスッキリ爽やかな味わいがふわっと広がり…。お酒が弱い私でもこれはハマりそう!

クンチョウ酒造、井上酒造、老松酒造、いいちこ日田蒸留所、梅酒蔵おおやま、それぞれのお酒に個性があり、全てコンプリートする人が多いんだとか。あ〜仕事じゃなければ全部試したのに(泣)。

ちなみに、一杯も飲めなかった運転手役のスタッフは始終恨めしそうにしていました(笑)。ごめんね。

日田ハイボールを楽しもう!

日田ハイボールは日田市内17店舗、東京と大分市の各1店舗で楽しむことができます。どのお店がおすすめですか?と尋ねると「日田ハイボールって基本的な作り方は同じなんですが、お店によってカボス果汁を入れたり、柚子を浮かべたりと、工夫してアレンジしている場合も多いんです。ぜひいろんなお店を巡ってお好みの味を見つけて下さい」と佐藤さん。

楽しんでお店巡りができるように「複数のお店でハイボールと料理を味わうことにより、コース料理が完結する」という斬新なアイディアもあたためているとのこと。「このお店は前菜と数品、次のお店でメイン、最後のお店でデザート…という感じ。実現できたら面白いなって。日田のお店は仲がいいのでみんなで楽しみながら企画を話し合っています」。はしご酒、ならぬ、はしご日田ハイボール、はしごコース料理なんてすごく楽しそう ♪実現するといいなぁ。

そうそう、日田ハイボールを楽しむ際はぜひお店の方に「どんなお料理が合いますか?」と聞いてみて下さい。店主の“一番”を教えてくれますよ。

日田ハイボールが楽しめるお店はコチラから確認できます。

著名人もお忍びで多数来館!洋酒の奥深い世界を楽しむ、天領日田洋酒博物館

JR日田駅から徒歩10分ほどの場所にひっそり佇む天領日田洋酒博物館。街の風景に馴染む、どこかレトロで雰囲気たっぷりの建物の中には館長の高嶋甲子郎さんが13歳の頃から約40年間を費やして集めた洋酒関連のコレクション約3万点が所狭しと並んでいます。

高嶋館長は「開館して11年経ちますが、いまだに酒屋と間違えて入ってくる人がいるんですよ」と笑いますが、お酒好きやコレクターにとってはまさに宝の山に出会える場所。

希少なコレクションや館長の人柄が話題を呼び、人気グルメ漫画に登場したり、航空会社の機内誌で紹介されたりと、受けた取材は数知れず。極め付けに2021年7月に出版された、「教養として知っておきたい 博物館の世界」(誠文堂新光社)という本の中で、「厳選!ニッポンの行くべき博物館20」に選ばれました。著者である京都国立博物館副館長 栗原祐司さんは博物館界の超重鎮。その栗原さんが“日本国内の博物館6,300館を全て回った結果選出した20館の中の1つ”と聞けばそのすごさが分かるのではないでしょうか?

天領日田洋酒博物館はウイスキー好き、洋酒好きの間ではすでに全国区。著名人がお忍びで訪れることも多いそうです。

なぜこんなにも洋酒にハマったのかと尋ねれば、「子どもの頃父が社員旅行で海外に行って、ジョニ黒(スコッチウイスキー・ジョニーウォーカー)を買ってきたんです。値段は当時の月給くらいかな。そのくらい高級だったから普段はサイドボードに飾って、それを眺めながらチビチビ安いお酒を飲む。で、父の友達が集まった時にジョニ黒を開けると、いい大人が「うぉーっこれがジョニ黒か!」ってめちゃくちゃ盛り上がるんですよ。子ども心に洋酒ってすごいものなんだと思いました。それが興味を持ったきっかけです」と当時を懐かしむように話す高嶋館長。その後、偶然見た西部劇でバーテンダーが客に向けてウイスキーの入ったグラスをカウンター越しにスーッと滑らせるシーンを見て「かっこいい!!」と衝撃を受け、コレクターとしての人生を歩み始めたそう。

そこから現在に至るまで高嶋さんの人生は洋酒一色、そして波乱万丈。ここで全て書けないのが残念ですが、ぜひ天領日田洋酒博物館HP(https://tenryo-hita-whiskymuseum.com/)をチェックしてみて下さい。

個人的には、新婚旅行で洋酒集めをしたり(お金がなくなって旅行期間短縮)、家族への相談なしで博物館の建設を決めたり…。そんな破天荒な高嶋さんにこれまで付いてきた奥さんが一番すごいと思いました(笑)。

博物館のシンボル・ニッカウヰスキーから受け継いだ貴重な蒸留器

数々のコレクションの中でも一際目を引くのがこちらのニッカウヰスキー創業当時の単式蒸留器。ニッカウヰスキーといえば、2014〜2015年に放送された連続テレビ小説「マッサン」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?この蒸留器はまさにそのマッサンのモデルであるニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝氏が作ったものなんです!

1999年に日田のニッカウヰスキー九州工場が撤退するという話を聞いた高嶋さんが、「博物館を作り、ウイスキーの神様である竹鶴さんの功績やウイスキー文化ついて多くの人に伝えたい」と何度も何度も掛け合い、 “奇跡的に”売ってもらうことができたそう。蒸留器の前には博物館設立時に竹鶴政孝氏の息子さんの竹鶴威氏から届いたお祝いの電報が飾られており、高嶋さんの熱意が大企業のトップに届いたことが分かります。

最後に蒸留器の写真を撮ろうとすると「ここ、この角度が一番いいんだよ」と高嶋さん。その言葉、眼差し一つひとつに“愛おしい”があふれていました。

館内にはマッサンコーナーがあり、ニッカウヰスキーから寄贈された竹鶴ノート(竹鶴政孝氏がスコットランドでウイスキー作りに付いて学んだ際に、技術を記したノート)の写しなどの貴重な資料、歴代のウイスキーなどが所せましと展示されています。ここまでマッサン関連の展示品が揃っている場所は他にないので、いまだに足を運ぶマッサンファンも多いそうですよ。

ひとつひとつにストーリが隠された、圧巻のコレクション

ここでは約3万点のコレクションの中から一部をご紹介!

マリリン・モンローとエルヴィス・プレスリーのウイスキーボトル

マリリン・モンローのボトルは出演作で最も人気が高い「七年目の浮気」の名シーンを再現。「下部にキャップがあり、開ける際はスカートを覗き込むようになります。アメリカンジョークですね(笑)」と高嶋さん。デザイン性が高く、インテリアとしても素敵。

列車のウイスキーボトル

1970年代後期のウイスキーメーカーのBEAM社製。精巧な列車模型の中にバーボンウイスキーが入っています。他にも同年代の様々なヴィンテージカーのウイスキーボトルがあり、車好きな方、お子様にも大人気。

禁酒法時代のウイスキーボトル

1920年頃、アメリカ禁酒法時代に闇で流通した密造酒。ギャングの資金源になっていたそう。「実はこれ、未開封なんですよ。保証はできませんが90%以上飲用可能だと思います」とのこと。このように歴史的価値が高いボトルも随所に見ることができます。

他にも江戸時代のジンボトルやティファニーがシーグラム社とコラボしたウイスキーボトル、ギネスに登録されている世界最小のウイスキーボトル、高嶋さんが子どもの頃に射的で落として集めたという、いわば“原点”であるミニボトルなど見所は満載。あっという間に時間が過ぎてしまいます。

洋酒の世界を満喫した後は、バーでまったり

天領日田洋酒博物館は日本初のミュージアムバーが併設されています。樹齢100年の日田杉を使用した12mの大型カウンターの上にはあらゆる洋酒がずらり。「メニューは特にないんです。ウイスキーは数えきれないほど。ビールも7種類揃えています。もちろん日田ハイボールもありますよ。基本的になんでも作れるのでリクエストして下さい」と高嶋さん。ノンアルコールカクテルやジュース、コーヒーなども用意されているので、「お酒は飲めないけど、雰囲気を楽しみたい」「高嶋さんとの会話を楽しみたい」という人も多いそう。

そうそう、実はお酒を片手に博物館を回ることもできるんですよ。美味しいお酒片手に、貴重な洋酒コレクションを楽しめるなんて、すごく贅沢ですよね。

定期的に県内外のアーティストを招いたライブも開催しているので、ぜひHPをチェックしてみて下さい♪

13歳の頃から好きなことに没頭し、50歳を過ぎた今も全力疾走。120歳まで生きる!と豪語する高嶋さんにとんでもないパワーをもらったひとときでした(笑)。今年も頑張ろ〜。

おわりに

今冬はちょっぴり趣向を変えて…。美味しいお酒、水、氷、そしてとびきりHOTな人情が待つ日田で、美酒巡りの旅をしてみませんか?飲めない人も雰囲気や楽しい会話、美味しいお料理にハマるはず!

日田ハイボール、天領日田洋酒博物館では今後様々なイベントが開催される予定なので、ぜひぞれぞれのHPをチェックして下さいね♪

日田ハイボール

https://hita-highball.com

HITA-SHIKIプロジェクト

https://hitashiki-project.com

天領日田洋酒博物館

住所:大分県日田市本庄町3-4

電話:0973-28-5266

営業時間:11:00~17:00

※バーは20:30〜24:30

定休日:水曜(博物館は12/31〜1/2は休み)

入館料(ソフトドリンク付)

大人800円、小中学生500 円、5才以下無料

※10人以上団体割引600円

https://tenryo-hita-whiskymuseum.com

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