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行ってみたやってみた

天ヶ瀬温泉&高塚愛宕地蔵尊

水害を乗り越え、新たな一歩を踏み出した
天ヶ瀬温泉郷

2021.11.30

1,300年の歴史を持ち、「豊後国風土記」にも登場する天ヶ瀬温泉。玖珠川沿いには温泉旅館や民宿がずらりと並び、古き良き温泉情緒を今に伝えています。

そんな天ヶ瀬温泉が未曾有の水害に見舞われたのは昨年7月のこと。集中豪雨で玖珠川が氾濫し、22施設のうち、16施設が被害を受けました。

しかし…。天ヶ瀬温泉は負けません!「それでも川が好き」を復興テーマに住民やボランティアの皆さんが復興に精力的に取り組み、今では多くの施設が営業を再開。来年1月には、建て直した2軒の旅館が、営業を再開する予定です。水害を乗り越え、より魅力的に生まれ変わりつつある天ヶ瀬温泉の“今”をお伝えします!

天ヶ瀬温泉の若手中心に地元住人、ボランティアが手を携え、新たな“天ヶ瀬温泉”づくり

「川を恨んではいません。天ヶ瀬温泉は川とともに歩んできた場所ですから。それに悪いことばかりではないんですよ。水害後、地域の絆は一層強くなったと感じています」そう話すのは、天ヶ瀬温泉旅館組合 組合長の阿部信明さん。

水害をきっかけに地域の若手が中心になって「天ヶ瀬温泉つなぐ会議」を発足。行政と市民を“つなぐ”、天ヶ瀬温泉の未来を“つなぐ”―そんな想いを胸に一人一人が新たな天ヶ瀬温泉の姿を思い描き、その実現に向けて奔走しています。

「少し先になりますが、新しく建設する堤防が観光客の皆さんに楽しんでもらえるようなデザインになればと思っています。あとは…。そうですね。まだ構想段階ですが、深夜営業の立ち寄り湯や、男女別の露天風呂など、より多くの方が利用しやすい温泉施設をつくれたらと考えています」。

天ヶ瀬温泉の未来を語る阿部さんはとても楽しそう。“温泉と川の魅力をもっともっと楽しんでもらいたい”そんな想いは少しずつ、でも着実に前進しているようです。

天ヶ瀬温泉の復興を語る際に外せないのが「天ヶ瀬温泉未来創造プロジェクト あまみら」の存在。2016年に埼玉県から移住してきた近藤真平さんが水害直後に立ち上げた団体で、近藤さんの想いに賛同した有志が現在に至るまで様々な復興活動に取り組んでいます。

私たちが手に持っているのは、その「あまみら」が日田市観光協会と共同で制作した天ヶ瀬温泉グッズ。人気小説の装丁や、雑誌の挿絵などを手がける画家の牧野伊三夫さんが書き下ろした「天ヶ瀬イラストシリーズ(写真右)」、「天ヶ瀬温泉 湯仏シリーズ(写真左)」、「美人の湯シリーズ」の3種類で、いずれも購入金額の一部が復興に充てられる仕組みになっています。手ぬぐいやタオル、トートバッグなど温泉巡りのお供にできるものも多いので、ぜひチェックしてみてください♪デザイン性の高さから、支援が目的の人だけでなく、「普通にかわいいから買った」という人も多いんですよ。

※あまがせ観光案内所、日田市観光案内所、通販サイト(https://amamira.thebase.in)で購入できます。

温泉街巡りへGO!まずは観光案内所で湯みくじと温泉パスポートをゲット

阿部さんの想いを聞いた後、早速天ヶ瀬温泉を楽しむことに。

まずは温泉街の入口近くにあるあまがせ観光案内所で「温泉パスポート3枚綴り(1,200円)」をゲット!「天ヶ瀬温泉旅館組合に加盟する温泉ならどこでもパスポートチケット1枚で入浴できますよ」と案内所のスタッフさん。立ち寄り湯は通常500〜800円なので、1枚あたり400円のチケットで入れるのはかなりお得。心置きなくいろんな温泉が楽しめそうです。

ちなみに3枚綴りのチケットはシェアできるので、一人で3つの温泉を満喫するもよし、3人で一つの温泉に入るもよし…。使い勝手抜群です。万が一チケットが余った場合も、「対象施設で300円分の商品引換券として使う」「ローズヒルあまがせに入園する」という2つの選択肢があるので無駄になることはありません。

※休業中の施設、土日のみ営業の施設もあります。詳しくはコチラをご覧ください。

案内所でもう一つ購入したのがこの湯みくじ(1枚100円)!温泉につけると文字が浮かんでくる不思議なおみくじで、観光客に大人気なんだそう。早速、案内所前の御手湯につけて待つことしばし。浮いてきたのは「中吉」!「旅行、さわりなし」「商売、あまり利益は期待できませんが、損はしません」etc.まずまずですが、なんというか、取材だし、原稿書かなきゃだし、ちょっとインパクトのあるやつが出て欲しかった(笑)。文字が出づらい場合は軽く擦ると文字が濃くなるので試してみてくださいね。

そうそう、案内所の前にはこの御手湯と、御足湯があって無料で楽しめるのでお見逃しなく!私たちも早速利用したのですが、鼻をくすぐる硫黄の香り、肌にじんわり浸透するやわらかなお湯に癒されまくり、早く肩まで浸かりたい気持ちになりました!

川沿いを散策しながら、温泉街の情緒ある風景を満喫

「どこの温泉にしようか」とわいわい話しながら、温泉旅館や民宿が立ち並ぶ玖珠川沿いをぶらり散策。のんびりとした空気、雄大な自然、川岸に点在する天ヶ瀬温泉名物の露天風呂、古き良き昭和の香りがするレトロな街並み。慌ただしい毎日を忘れさせてくれる“非日常”に心が弾みます。

実は水害にあった「成天閣」の吊り橋、壊れはしたものの荒れ狂う濁流に耐え、落ちることはありませんでした。そこで「不落の橋」と呼ばれ、その橋の木材を利用したお守りが販売されています。濁流にあっても「落ちず、流されなかった」橋、水害に遭っても「立ち上がり、困難を乗り越えていく」天ヶ瀬温泉の姿にたとえ「不撓不落御守」と名付けられたお守りは袋入1個1,000円、桐箱入1個2,000円。

困難に直面した時、きつい時、お守りに込められた天ヶ瀬温泉の想いにきっと勇気づけられるはずです。もちろん、“落ちない”“流れない”ことから受験生のお守りとしても高い人気を誇ります。

※あまがせ観光案内所、成天閣、あまみらの通販サイトで購入できます。

食べ歩き、お土産にぴったり!4代目が奮闘する菓舗 田代屋に寄り道

散策していると、7月にリニューアルオープンしたばかりの老舗和菓子店「田代屋」が目にとまりました!日田杉をふんだんに使った店内は、レトロな温泉街の雰囲気からはいい意味で浮くモダンな雰囲気。シンプルながらセンスの良さが伺え、新しい天ヶ瀬温泉の姿が目に浮かぶようです。

対応してくれた4代目の田代啓介さんは岐阜の老舗お菓子店で修行し、春に帰ってきたばかり。水害の被害を目の当たりにし、復興に尽力する「天ヶ瀬温泉つなぐ会議」の一員としても積極的に活動しています。

一押しは「和菓子をもっと気軽に楽しんでほしい」と啓介さんが考案した「天ヶ瀬あんぱん(230円)」。生地にタピオカを混ぜ込んだモッチモチの生地が絶品で、甘さ控えめのあんこと相性抜群。ありそうでない、小ぶりのサイズ感も好評で、温泉街の食べ歩きにもぴったり♪

季節の移ろいを繊細に表現した上生菓子は250円。この日のラインナップは山茶花(左)、銀杏(右)、秋山路(奥)。 見えづらいですが、秋山路のグラデーション、浮かぶ紅も、すごくきれいで目でも楽しめるんですよ。どんなモチーフにするのかは啓介さんの気持ち次第。10月はハロウィンモチーフが子どもさんに大好評だったそう。12月はもしかして…??

ほかにも玖珠川にちなんだ「あゆものがたり」、葛餅を使った溶けないアイス「葛もちアイス」など4代目のこだわりが詰まったお菓子が充実。もちろん、ただ“新しく”するだけでなく、そば饅頭など古くから愛される老舗の味も守っています。田代屋さんを見ていると、こういうお店の頑張りも天ヶ瀬温泉復興の大きな力になっているんだなぁとしみじみ。皆さんの前向きなパワーに力をもらえた天ヶ瀬温泉散策でした。

温泉を楽しんだ後は、美しい滝・桜滝で癒しのひととき

天ヶ瀬温泉にほど近い、落差約25m、幅約15mの桜滝。名前から勘違いする人も多いのですが、桜の名所、という訳ではなく、水量が豊富で、細かく分かれて落ちる水しぶきが桜のように見えることからこう呼ばれるようになったといわれています。

桜滝の魅力はなんといっても、滝のすぐ前まで歩いて行けること!マイナスイオンたっぷりの遊歩道を10分ほど歩くと迫力満点の桜滝に到着(途中に休憩のベンチもあるので、10分がきついという人も安心)。噂通り、本当に驚くほど水量が豊富で、多少離れた場所でも降り注ぐ水しぶきが顔まで飛んできます。滝音に耳を傾け、澄んだ空気を吸い込めば体がリフレッシュされるよう!あたたかい格好で冬の桜滝へお越しくださいね。

願いが叶う!? 2,000体を超えるお地蔵さんが安置された 高塚愛宕地蔵尊

天ヶ瀬温泉の帰りに立ち寄ってほしいのが、地元民に「高塚さん」の愛称で親しまれている高塚愛宕地蔵尊。奈良時代に行基が開山したと伝わる由緒ある地蔵尊は、病気平癒や学業成就、商売繁盛、子授けなど様々な「祈願成就」にご利益があるとされ、全国各地から足を運ぶ人が後を断ちません。芸能人やスポーツ選手もお忍びで訪れているそうです。

「お参りなんて子どもが飽きちゃいそう」と思っている人も、心配無用。広い敷地内には閻魔様が鎮座するトンネルや2,000体を超えるお地蔵様など見所がたくさんあり、飽きるどころか楽しくて時間が経つのも忘れてしまいます。ここでは世代を超えて楽しめる高塚さんの魅力をドーンとご紹介します♪

見て、触って、感じて…。ありがたい高塚さん巡りへGO!

「堅苦しく考えないでください。ここは神様と仏様が同居する場所。神社の鳥居があったり、お寺のドラがあったり、面白いでしょう?そんなところだから、神社方式でお参りしてもいいし、お寺の作法に則ってもいい。大切なのは気持ちです」そう話すのは、代表を務める穴井武彦さん。古くから地域に根ざし、身分など関係なく、多くの人の心に寄り添ってきた高塚さん。そこに難しい決まり事がないのは当たり前のことなのかもしれません。最後に、「絶対に覚えなければいけないものではないですが」と前置きした上で御本尊である地蔵菩薩の真言を教えてくれました。

「おん かかか びさんまえい そわか」

お地蔵様にお参りするときに唱えると良いそうです。なんだか必殺技みたいでかっこいいな、と罰当たりなことを考えつつ、いざ!高塚さん巡りへ。案内図を見てわかるように見て、触って、感じるスポットが目白押しとのことでワクワクが止まりません。

薄暗いトンネルにドキドキ!地蔵菩薩の化身・閻魔様が鎮座する一念堂

2,000体を超えるお地蔵様が並ぶ下には、2002年の開基1,050年記念事業で造られた洞窟「一念堂」があります。昼間でも薄暗いトンネルの中央部には本尊である地蔵菩薩の化身・閻魔大魔王と六地蔵が鎮座。見るものの心を見透かすような厳しさの中にもどこか慈愛を感じさせる表情が印象的です。

ほのかな灯りに照らされた迫力満点のお姿に、泣き出してしまうお子さんもちらほら。怖くないよと慰めたり、「悪いことしたら閻魔様に〜」と言い聞かせたり…。親御さんの反応も様々で、なんだか微笑ましかったです。

お地蔵様をかかえると願いが叶う!?おかかえ地蔵

トンネルを抜けた先にあるのが「おかかえ地蔵」。願いを思い浮かべて持つと、叶う場合は軽く、難しい場合は重く感じるそう。ドキドキしながら、「大丈夫、叶う、叶う」と念じて持ち上げると…。いや、めちゃくちゃ重い、落としそうなほどに重いんですけど!!!リアルに泣きそうになりました(笑)。

次に持ち上げたスタッフは軽々と持ち上げたので、さらにショック。「きっとあのスタッフは昼ごはんが食べられますように、とか適当なお願いに違いない。いや、きっとすごい力持ちなんだ」と自分に言い聞かせてその場を後にしました。うん、また来よう…。お地蔵様は重く感じたけど願いが叶ったという方!エピソードお待ちしています!

そうそう、拝殿の裏にはさわって祈願する「恵みの玉」があるので、こちらもぜひお試しくださいね。

子どもの健やかな成長を見守る御神木

高塚さんの御神木は樹齢1,300年余りのイチョウの木。開祖である行基がこの御神木の中に乳房の形をした宝珠を見つけたことから、「乳銀杏」と呼ばれ、古くから、「子宝を恵む」「母乳を授ける」「子どもの健やかな成長をかなえる」霊樹として親しまれてきました。現在は幅広い願いを叶えるパワースポットとして、男女問わずたくさんの方がお参りに訪れています。

御神木の近くには願いが書かれた「胸当て」が至る所にかけられています。昔は参拝者が布で胸当てを作って、子宝や乳の出が良くなるよう祈願したそうですが、現在は売店で祈願の胸当て(300円)を購入することができます。願いが叶った後のお礼の胸当てもあるんですよ。願いはなんでも良いとのことで、「健康」を祈願することに。その後、御神木をさわってパワー充電!来年も元気で過ごせますように(気が早い) 。

胸当ての他にも、絵馬や高塚さん独自の願い紙に願いを書いて祈願することができます。願い紙には年の数だけ願いを書くと良いそうで…。私も○○(ヒミツ)回がんばりました(笑)。

帰りは参道沿いでお土産をゲット!

高塚さんへ続く参道の左右には土産物屋※がずらりと並び、お参り情緒たっぷり!古き良き昭和の雰囲気って、なんだかワクワクさせてくれますよね。

元気なおばちゃんに「これ美味しいで」「食べてみらんね」と声をかけられて買ったのは高塚名物「ゆで万十」!よもぎが香るもちもちとした皮の中は甘さ控えめの粒あん。素朴で、懐かしい味わいが口いっぱいに広がります。お土産にも喜ばれそうです。参道の下には地元の新鮮な野菜や果物をお手頃価格で購入できる「農産物販売所」もあるので、そちらにもぜひ立ち寄ってみてくださいね。

※休業中のお店や週末のみ営業のお店もあります。ご了承ください。

高塚さんの魅力を参拝者にインタビュー

実際に参拝に来ていた方にお話を聞きました。リアルな高塚愛をたっぷり感じてください。

○佐賀県から遊びに来たご夫婦

<奥様>

初めて高塚さんに来たのは30年前。それから定期的に来ています。その時々の家族の思い出が詰まった大切な場所です。一番の魅力はゆっくりとした時間の流れ。自然も豊かで本当に癒されます。寄り付きやすいのも良いですね。私でも運転できます(笑)。

<旦那様>

心が落ち着く場所。お土産も楽しみですね。今流行りのお菓子じゃなくて、昔懐かしい味わいに出会えるのがいい。子どもの頃食べたなぁと嬉しくなります。地元の新鮮な農産物を買って帰るのも楽しみです。

○ご両親、子どもさんと参拝に来た女性

昔から知っていましたが、両親に誘われて初めてきました。景色もきれいですごく良いところだと思います。娘は閻魔様を少し怖がっていましたが、楽しんでいるようでよかったです。

おわりに

たくさんの人が手を力を合せ、順調に復興が進む天ヶ瀬温泉。天ヶ瀬温泉で温泉と人のあたかさに触れ、高塚さんでお地蔵様のぬくもりに包まれる。いつもと少し違う、心がほかほかになる旅をしてみませんか?

天ヶ瀬温泉

日田市観光協会 天ヶ瀬支部

問 0973-57-2166

菓舗 田代屋

大分県日田市天瀬町桜竹470-4

0973-57-2164

営業時間8:30〜19:00

お休み 不定

高塚愛宕地蔵尊

大分県日田市天瀬町馬原3740

0120-417-381 (8:00~17:00)

 http://www.takatukasan.com

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